美術部で活躍した高校時代

堀口さんが習った美術の先生は、辻 弘先生。
斬新な画風で、とにかく好きな事をさせてくれる先生だったらしい。
この先生の影響は大きかったようだ。

物資も豊かでない高校時代、油絵を描くといってもキャンパスもない。
なので、ベニヤ板に描く。
絵の具は色により値段が違っていて、安い「白・黒・茶」だけは学校が用意してくれていた。
後の色は自分持ち。
そのせいで、当時の堀口さんの絵は、白と黒と茶の世界だった。

クラブはもちろん美術部だ。
三期生ががんばって基盤を作ってくれていた。
大阪府全体の美術展「アンディパンダント展」に出品し、5位になった。
川高生で賞をもらった第一号だった。

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――美術をやる後輩にメッセージを
 昔は勉強はいまいちでも、絵を描かせたらすごいという豪傑が美大に入ってきました。
今は、センター試験で振り落とされるので、賢い子しか入れないのです。
でも、絵しか出来ない子には、美大入試に挑戦して欲しい。
何べん落ちても、トライしてほしいです。
――デッサンって大事ですか?
 デッサンは絵描きの義務教育です。
デッサン力がなくても、センスで描ける絵はあります。
でも、デッサン力がないと、引っくり返った時、立ち上がれないのです。
また、デッサンは港みたいなもので、遠くに行っても(画風を変えても)、また帰ってこれるのです。
だから大事ですね。

居酒屋「富五郎」はTVの取材で有名に


2年前、お客としてNHKのスタッフが来店。
話してるうちに、画家だと分かり、何か描いて欲しいと頼まれた。
傍にあった色紙に、割り箸に醤油とソースをつけ絵を描いたら、とても感心された。
数日後、いきなりTVカメラを持ち込んでの取材が始まり、放映された。
その反響が大きく、他局の「ニュースアンカー」の山本アナ、水野真紀「魔法のレストラン」、
藤井フミヤも来店してインタビュしてくれた。

なにせ、庶民の町十三の居酒屋で、経営者が著名な画家で即興で絵を描いてくれる。
しかも、描くのは割り箸に醤油にソース。

本来の意味でも絵になる世界、しかも美味しい世界。

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デッサンは絵描きの義務教育

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「賞を取ると、人はどうしてもそれに縛られます。
新しい挑戦を避け、受賞した絵と同じような絵を描こうとします。
それでは自由な絵は描けないのです。
私は、賞を取ったら、また0からスタートなのだと思っています。」

「息子が4歳の時に書いた絵は素晴らしかった。
誰に迎合するでもなく、誰かに認めて欲しいとも思っていないで描いている。
自由に、描きたいから描く。
それが理想ですね。
でも、中学生くらいになると、駄目になります。
先生に褒めてもらえる絵を描こうとします。
私もどこかに、人の目を捨てきれないところがあってまだまだですが、
子供のような自由な心境になりたいです」

受賞後は、また0からのスタート