人の心を大事にしない企業はアカン

 
ー岩谷産業とは?

創業者は「世の中に必要な人間になれ。世の中に必要なものこそ栄える。」との社是を唱えていましたが、
これは僕も好きな言葉なんですね。
岩谷産業では、この言葉は普遍の企業理念であり多くの社員に浸透しています。

ー今の若い人たちのこと、どう思われますか?

今の若い人たちのことを「スモールライフ」とか言って、考えが小さいと言われてますが、
僕は決してそうじゃないと思っています。
みんな生きがい、働きがいを求めていると思います。
仕事は厳しいものだから、社会に出たら楽しいことより辛いことの方が多いかもしれません。
でも若い人には何より「時間」があるので、可能性も無限大だと思うのです。

大事なことはその芽を摘まないように大きく伸ばしてやることであり、先輩である我々には
その責任があります。
「今の若者は・・・」とよく言われますが、昔も今もそんなに差はないと思います。
日本人だってそんなに変わってない。僕らの若い頃と今の若い人との間にどんな違いがあると考えると、
そんなに変わってないと思います。

ーでは、どんな風に人を育ててるのですか?

うちの会社は入社して3年間は正式配属せず、3年間の間に営業や経理、外廻りや内勤と色々なことを経験させるようにしています。
すぐに結果を求めるのではなく、本人の希望と適正を判断した上で正式配属するようにしています。
それから入社して3年間に、出来るだけ多くの公的資格を取るように勧めています。
通信教育なども補助したり、海外留学制度、資格取得支援の仕組みも作っています。。





ーその成果は?


世の企業では若い人の離職率が高いとよく話題になりますが、わが社の離職率は非常に低い水準です。
これは、創業の理念に共感してくれてる社員が多いからではないかと思っています。

うちの会社は、これまで定期採用で必ず50人くらい採用してきました。
ふと気が付いたら、40代以下の若い人の多い会社になっていたんですね。
これからは若くて優秀な社員の育成が課題だと思っています。
それから業績が悪い時も簡単にリストラせず、人を大事にしてきました。
100社余りの連結子会社も含め、適材適所を考えて、人材を活かすようにしています。

ー愛読書は?

僕は司馬遼太郎の「坂の上の雲」が愛読書なんです。
もう十何回も読みました。
日本人は「一生懸命、明日の良い生活を目指してがんばろう」としてきました。
「坂の上の雲」は読むたびにそういう思いを彷彿とさせます。
これは日本人の原点だと思いますし、そういうことが大事ではないでしょうか。





  取材を終えて

目の前でしゃべってはる野村さんの顔は、中学時代のいたずらっ子そのままなんやけど、お話の中身は濃くて共感することが多くて、
「あの野村くんがこんなに大きな人間になりはってんね」と、深い感慨にふけりました。

ところで、野村さんは「定年になったら江風会活動手伝うよ」と言ってくれていました。
なので、急に社長になったと聴いた時には、「すごい〜! おめでとう〜!! 良かったね」との思いと同じくらい、
「残念〜!!!」

でも、野村社長、日本の未来のためにがんばってください。

 
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