獣医として大事なのは、誤解されないように説明すること 

 
-獣医として心がけておられる事は?

診断や治療について、飼い主の方に誤解されないように説明する事ですね。
笑い話に近い例なんですが、
ある猫の飼い主さんに「ゴハン食べてますか?」と聞くと、
「いえ、全然食べてません」と言われ、
それにしては元気で毛並みも良いな、と不思議に思いました。
でも、よくよく聞くと、「ゴハンは食べないけど、カリカリのフードはよく食べます」
これもこちらの尋ね方が悪かったのですね。

また、必要な検査を断る飼い主さんには、「ここでは受けれませんので他の病院に行ってください」といえる勇気も持てるようになりました。

若いときは「死ぬ」という言葉はタブーだと教えられました。
でも、今は「死ぬ」という言葉を使っての説明が必要な時もある、と思うようになりました。


僕のカルテは日本語で書いています。
なので、説明後、飼い主さんに間違いがないか見てもらってるのです。


−テレビドラマで動物病院のドクターを描いているのがありましたけど・・・

あぁ、手術1件で何百万ももらうっていうドラマですね。
あんなにもらえれば良いですね。(笑)

ドラマはともかく、ムツゴロウさんが動物の手術をされているドキュメントがありましたが、とても問題を感じました。
ムツゴロウさん、手術を素手でやってるのです。
あれはあり得ません。
私たちは使い捨ての手術用手袋を使い、器具も滅菌し、手術室は清潔に保っています。
手術時には感染がないように非常に気を使います。


−2008年に、社団法人日本動物病院福祉協会(JAHA)から、長年のシラバス編集に尽力した事により、感謝状を授与されていますね。


JAHAでは年に5〜6回、最新の獣医学を学べるように会員にセミナーを開催しています。
そのシラバス(会議録)を作成してきました。
DVDに録画した画面を見ながら、同じシーンで語られた声のテープ起こしをやります。
根気のいる仕事ですね。
1994年10月が最初で、今ではこの作業をするのは全国で僕だけです。

毎回シラバスを作成することにより、新しい医療知識が増えていきます。
この知識はとても役に立っています。

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