東淀川高校 バイオアクティ部 大阪府立大学 生物科学 植物環境生理学研究室訪問 

平成27年1月10日(土)午前10時から午後3時まで、母校バイオアクティ部の1年生5名と、2年生1人が、
顧問の山下敬介先生(生物)と、 島田美佐代先生(数学)の引率で、大阪府立大学植物環境生理学研究室を訪問しました。

植物環境生理学研究室の上田純一教授は、東淀川高校11期生です。

また、上田さんは、先日の60周年記念式典で講演もされ、とても好評でした。


 



上田さんからの報告です



自分の高校生時代の東淀川高校の様子、それから高校時代はとても成績が悪かったことなどをお話ししました。

・6階の3年生部屋 --- 3年生の10月からは自分の専用デスクがあたえられ、そこで勉学等ができることをお話しし、そこを見学しました。



 6階の研究室見学

1. 冷蔵庫の多い謎 ---- 試薬類や貴重なサンプルは冷蔵(4℃)あるいは冷凍(-20℃-80℃)保存が必要であること、停電時にはドライアイス等を用いて低温を維持すること等を説明しました。冷蔵庫、冷凍庫の中を見ていただきました。

2. 3日齢の暗黒で育てたカイワレダイコンを市販のカイワレダイコン芽生えと比較しました。また暗黒で育てた芽生えを蛍光灯の下に放置し、クロロフィルができて子葉が緑に変化すること、子葉が展開して行くこと見ていただきました。

 光の下で育てた市販のカイワレダイコン芽生えの形状を手にとって見ていただき、子葉(双葉)の形状(左右非対称であり、種子の中では大きな方が小さな方にのっかって入っていること、その時には、下側の子葉の上側は子葉の表、上側の子葉の上側は裏側になること)を説明しました。
マーケットでカイワレダイコンを買うときに、そのことを思い出してほしいと思います。

それから、植物の葉が緑色に見える理由について質問しました。
植物は、可視光線の内、特に、赤と青の光を吸収して光合成と形態形成(成長、発達のこと)に利用しているので、その残りの光(植物に吸収されない光)が私達の目に入るので緑に見えることをお話ししました。


 
市販のカイワレダイコン芽生えからアセトンにてクロロフィルを含む緑葉色素を抽出し、薄層クロマトグラフィーで展開し、βカロチン、クロロフィルa, b、ルテイン、ビオラキサンチンなどの色素を見ていただきました。
また紫外線ランプ下で赤色のクロロフィルの自家蛍光を見ました。

 
 
後日、その後実験室で育てたカイワレダイコンの成長の様子を写真撮影し、山下先生宛お送りしました。
 
3. ピペットマン(1000 μl, 100 μl, 10μl)の使用方法と実際の練習

例の、小保方さんが実験で使用していたピペットマンと同じもので、その使用を練習していただきました。

4. ガスクロマトグラフ質量分析計 --- 私の研究室にある最も高価な装置で(家を一軒建てる程度の金額)、実際にH
2O, O2, CO2がシグナルとして見えることを説明しました。
生徒の皆さんには少々難解であったかも知れません。


  5. 液体窒素 --- 沸点-196℃であるので、室温の容器やテーブル、床にこぼすと瞬時に沸騰して蒸発することを体験いただきました(室温の水を熱したフライパインにこぼした状況と同じ現象であることを説明しました)。

遺伝子やタンパク質などの分析実験には欠くことにできないものであることを述べました。


6. 遺伝子(DNA)断片を目で見る --- エンドウより分離しました植物ホルモンのオーキシンの移動に関わる遺伝子を電気泳動し、(発ガン性のある)エチジウムブロマイドで染色後、紫外線ランプの下でその像を見ていただきました。

 



 記念撮影



遺伝子の染色像を写真に撮った後、山下先生、島田先生と生徒の皆さんで記念写真を撮りました。


 
最後に
2Fの低温実験室見学 ---- 実験には低温で行わねばならない場合があること、その時には部屋全体が冷蔵庫になっている低温実験室で実験しなければならないことをお話しし、実際に低温実験室に入っていただきました。
低温実験室の中は冷たい風が吹き出していて、とても寒かったです。

私どもの実験用植物種子の保存状態を見ていただきました。


 


 植物環境生理学研究室のホームページへ


 
山下先生からのお便り

大阪府立大学大学院
上 田 純 一 先 生

本日はありがとうございました。
生徒たちにとっては恐らく初めての体験で、「すごかったな」など言葉足らずですが、やはりとても感動した様子でした。
また、島田先生も「楽しかった!」「来てよかった」を連発していました。何よりも彼女はわたし同様、先生のお人柄に惹かれ、すっかりファンになったようです。

きっと生徒のみならず、私たちにもまったく理解できないような内容をご研究なさっているにもかかわらず、
生物のせの字も知らない生徒に実習を準備しご説明いただくには、とても御苦労なさったのだろうと想像できます。

私事ですが(前回もそうでしたが)、ご訪問させていただいたあと、もし、わたしが高校生ならきっと強いあこがれと興味を持って、ともすると「自分の進路が決まった!」とまで思ったかもしれないと思いました。

お忙しい中、いろいろな準備やお気遣いをしていただき、ほんとうにありがとうございました。
なのにお昼までご馳走になってしまってまったく恐縮しております。

今年の春、新入生部員をたくさん入部させる予定(あくまで予定ですが)ですし、もう一人の顧問(生物科の若い女性です。今日は弓道部の公式戦のため来れませんでした。)も、かなり残念がっていたので、またご訪問をお許しいただけたら、是非お伺いしたいと思います。
先生がおられないのがとても寂しいですが・・・・

また、ガラス器具についてはお差し支え無ければ、何でもいただきたく思います。
最近少ない予算がさらに縮小され、本来あってあたりまえのものすら不足しています。またまた厚かましいのですが、3月になったらまたご連絡いたします。


                                           東淀川高校
                                                山下敬介