オーディションは驚きの連続

■では、その時のエピソードを詳しく聞かせてください。

1次審査は書類選考、2次審査が面接、3次審査が芝居審査、4次審査が合宿。ほかはともかく、「合宿」ってなんやって話ですよね(笑)

2次審査のグループ面接はめちゃくちゃ緊張しましたねえ。入っていくと5人ぐらい吉本の偉いさんがずらっと並んでて、真顔でこっちをジーッと見てるんですよ。すごい威圧感でした。

そこで簡単な自己紹介をして、その後「パラパラを踊ります」と言って、当時ブームだったパラパラを10分ぐらい延々と踊り続けてやりましたよ。これ、ナイトクラブのバイトでは随分ウケてたんです。それが面接では全っ然ウケなくて!冷静な目で「ハイ、もういいですよ」って止められました。

ショックを受けてると、次の人が形態模写で「もし猫が靴やったら」みたいな意味不明なネタをやって、これがもの凄くウケた。「いやぁー、おもろいなーキミ」なんて言って全員大爆笑ですよ。これはもう絶対落ちたと意気消沈してたら、2次審査の合格通知が届きました。それで3次審査の会場に行くと、例の爆笑取ってた人がいないんですよ。「落とされてる!」。どういう基準だったんでしょうね(笑)まぁ3次の芝居審査はうまくやりまして、けっこうすんなりいきました。

■あとは、4次審査の「合宿」が気になりますね(笑)

結局、応募2000人中、最終審査に進んだのは17人。これは新聞にも大きく載りました。残った中には前田五郎師匠の娘さんや、もと宝塚の娘役トップの人なんかもいて、この人達は「まず間違いなく受かるだろう」と予想されていた鉄板組ですが、ほかはまったくの未知数。何人受かるかもその時点ではわかってませんでした。

合宿の様子は新喜劇メンバーのMCでテレビ放映です。行きのバスの中でさっそくお題を出されてそれに答えたり、「お邪魔しまんにゃわ」みたいな定番の出ギャグを考えたり。もうそこから審査が始まってますよ、という。最初の「お邪魔死にまぁーす!」というのも、そこで考えたネタです。

行き先は吹田にある旅館で、そこを2泊3日の貸し切りで行われたんですが、それはもう過酷でした。3日間合計で睡眠時間が4時間ぐらいですかね。

■そんなにですか!いったいそんな長時間どのようなことをされていたのでしょうか。

朝から晩までコントや芝居のレッスンですね。発声練習ですとか、あとは新喜劇には殺陣がありますのでその練習など。あとは「噛んだら眠れません」とか言われて、難しい小説をずっと読まされたり。誰かが噛むとまた最初からやり直しです。これが朝の4時5時まで続いて、ようやく眠れたと思ったら今度は寝起きドッキリで芸人さんが乱入してきたりするんです。

食事の時も気が抜けません。「笑ったら食事抜きですよ」みたいな企画で小薮さんとレイザーラモンさんが全身タイツで出てきたりしてね。これがまたメチャクチャ面白いんですよ。まぁ今思えば素直に笑っておけば良かったんでしょうけど、「メシを抜かれたらたまらん」と思って必死でこらえてました。周り見るとやっぱり大半笑ってましたねえ。

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